事業環境

国内外で高齢化が進み、介護や医療の需要が急増しています。国内外の高齢化の傾向と、私たちが認識している課題などについて説明します。

日本の事業環境

日本の高齢化状況

  • 高齢者人口 日本の高齢者人口は約3,600万人で、全人口の29%を占めています。2040年には約4,000万人(全人口の35%)に達すると予測されています。
  • 市場の期待 高齢者向けの介護サービス、消費、ヘルスケア、医療関連事業は、安定的で大きな市場になると期待されています。

介護事業所の現状

  • 事業所数 日本には約25万件の介護事業所があり、その多くは小規模な事業者です。
  • サービス内容 これらの事業所は地域に特化したサービスを提供しており、国の方針である地域包括ケアの考え方に沿っています。

介護サービス事業者の分類

  • 介護保険利用サービス 介護保険を利用した高齢者向け介護サービスを提供する事業者。

  • システム・サービス提供 約25万の介護事業所向けのシステムやサービスを提供する事業者。

  • 特徴 いずれも国内の介護保険制度に基づき社会保障給付費を消化するサービスを展開しています

社会保障給付費の課題

  • 増加傾向 高齢化の進行により、社会保障給付費(年金、医療費、介護保険他の合計)は年々増加傾向にあります。
  • 需要と財政負担 今後も高齢化の進行は止まらず、介護サービスの需要はさらに高まると予想されますが、国の財政負担も増大します。
  • 国民皆保険制度 日本では、すべての国民が平等に医療を受けられる国民皆保険制度があり、医療費の自己負担は多くて3割です。
  • 介護保険制度 65歳以上の高齢者は、介護度に応じて原則1割負担で介護保険サービスを受けられます。
  • 現役世代の負担 社会保障給付費は現役世代が消費税や社会保険料を負担して支えていますが、現状維持の場合は、人口バランスの崩れにより制度維持は困難になります。

世界的にも高齢化が急速に進んでいます。中国、韓国、台湾、シンガポール、タイなどでは、10年以内に日本と同じような高齢化社会になると予測されていますが、これらの国では介護保険制度がまだ十分に整備されていません。日本は超高齢社会の最先端を進んでおり、制度、運用、事業面での各種サービス開発やインフラ整備で大きな優位性を持っています。

    海外展開の課題と機会

    • 法制度の違い 各国の法制度には大きな違いがあり、日本の介護保険制度に特化したビジネスアプローチでは、海外での介護事業展開には障壁があります。

    • 革新的な介護サービス 社会保障給付費に依存せず、むしろ社会保障費用を縮減させうる革新的な介護サービスや技術の開発が求められています。

    革新的なビジネスモデルの必要性

    • 自立的ビジネスモデル 日本の介護保険制度に縛られない自立的なビジネスモデルを構築することで、国内市場だけでなく、急速に高齢化が進む海外市場においても大きな競争優位性を発揮することができます。

    • 海外市場の開拓 社会保障制度の整備が追いついていない国々では、効率的で質の高い介護サービスへの需要が高まっています。

    • 日本企業の機会 日本企業が培ってきた知見やノウハウを活かし、各国の実情に合わせたサービスを展開することで、巨大な海外マーケットを開拓する機会が広がります。

    • 競争力と社会課題の解決 社会保障給付費に依存しないビジネスモデルは、国内外の市場で高い競争力を持つと同時に、社会保障費の増大という社会課題の解決にも貢献します。このようなイノベーティブな取り組みこそが、日本の介護業界が世界をリードしていくための鍵となります。