特別養護老人ホームとは?厚生労働省のサイトから

介護保険施設

特別養護老人ホーム(特養)」という言葉を聞いたことはありますか?自宅での介護が難しくなってきた高齢者の方やそのご家族にとって、特養は非常に重要な選択肢の一つです。

しかし、特養について詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。そこで、当社の「施設相談センター」では、特別養護老人ホーム選びに関するあらゆるご相談を承っております。

この記事では、厚生労働省が公開している情報に基づき、特別養護老人ホームの基本から、入居条件、提供されるサービス、費用、そして他の施設との違いまで、わかりやすく解説します。


特別養護老人ホーム(特養)の基本を知る

特養ってどんな施設?

特別養護老人ホームは、老人福祉法に定められた高齢者福祉施設の一つです。介護保険法では「介護老人福祉施設」と呼ばれています。

主に地方自治体や社会福祉法人が運営する公的な施設なので、比較的安価な費用で利用できるのが特徴です。

その目的は何でしょうか。常に介護が必要で自宅での生活が困難な高齢者に対し、安心して生活できる場を提供することにあります。多くの場合、看取りまで対応しており、「終の棲家」として長期にわたって暮らすことが可能です。

広域型と地域密着型、何が違うの?

特別養護老人ホームには、大きく分けて「広域型」と「地域密着型」の2種類があります。

  • 広域型特別養護老人ホーム: 全国どの地域に住んでいても入居を申し込めます。一方で、規模が大きく、多床室や従来型個室が中心です。
  • 地域密着型特別養護老人ホーム: 原則として、施設が所在する市区町村に住民票がある方のみが申し込み可能です。小規模な施設が多く、地域との連携を重視したサービスを提供しています。

入居するには?特別養護老人ホームの条件と手続き

誰でも入れるの?入居の条件

特別養護老人ホームへの入居は、誰もがすぐにできるわけではありません。入居条件は厳格に定められています。

  • 原則: 65歳以上で、要介護3以上の介護認定を受けている方が対象です。
  • 例外: 40歳から64歳までの方でも、特定疾病が原因で要介護3以上の認定を受けている場合は入居が可能です。
  • 特例入居: 要介護1または2の方でも、以下のようなやむを得ない事情がある場合は、市町村の判断により特例入居が認められることがあります。
    • 認知症によって生活に著しい支障がある
    • 知的障害または精神障害を伴い、日常生活に支障がある
    • 深刻な虐待が疑われる
    • 単身世帯や老老介護など、家族からの支援が著しく困難

申し込みから入居までの流れ

入居までには以下のステップを踏むのが一般的です。

  1. 要介護認定の申請: まず、市区町村に介護保険の要介護認定を申請します。
  2. 情報収集・相談: 地域の地域包括支援センターやケアマネジャーに相談し、特別養護老人ホームに関する情報を集めます。
  3. 施設の見学・選択: 複数の施設を見学し、ご本人やご家族の希望に合う施設を選びます。
  4. 申し込み: 施設に直接、必要書類を提出して申し込みます。
  5. 審査・面談: 提出書類に基づき審査が行われ、その後、施設職員との面談があります。
  6. 入居決定・契約: 入居が決定すると、施設と契約を結び、入居日を調整します。

ただし、入居は基本的に申し込み順ではありません。介護の必要性や緊急性の高い方が優先される「優先入所」の仕組みが採られています。そのため、申し込みから入居まで時間がかかる場合があることを理解しておきましょう。


特別養護老人ホームで受けられるサービスと費用

どんなサービスが受けられるの?

特別養護老人ホームでは、日常生活をサポートする様々なサービスが提供されます。

  • 身体介護: 食事、入浴、排泄、着替えなどの介助。特に、入浴は週に2回以上が義務付けられています。
  • 生活援助: 居室の清掃、洗濯、買い物代行など。
  • 健康管理・医療連携: 定期的な健康チェック、服薬管理、協力医療機関との連携による医療的ケア。看取りにも対応する施設が増えています。
  • 機能訓練・リハビリテーション: 身体機能の維持・向上、日常生活動作の自立を目的とした機能訓練。
  • レクリエーション・アクティビティ: 季節のイベント、趣味活動、交流会などを通じて、生活の質の向上を図ります。

気になる費用は?入居一時金は不要!

特別養護老人ホームは、有料老人ホームとは異なり、入居一時金が不要な点が大きな特徴です。

月額費用は、主に以下の要素で構成されます。

  • 居住費: 部屋代。多床室、従来型個室、ユニット型個室など、部屋のタイプによって料金が異なります。
  • 食費: 1日3食の食事代。
  • 日常生活費: 理美容代、おむつ代、レクリエーション費用など、介護保険でカバーされない個人的な費用。
  • 介護サービス費: 要介護度に応じて自己負担割合(1割~3割)が発生します。
  • 加算費用: 個別のケアやサービスに対する追加料金。

おおよその月額費用は、多床室で8万円~13万円、ユニット型個室で10万円~16万円程度が目安とされています。

費用の負担を軽減する制度

経済的な負担を軽減するための公的な制度も充実しています。

  • 特定入所者介護サービス費(負担限度額認定): 低所得の方を対象に、居住費と食費の自己負担額を軽減する制度です。所得や資産に応じて負担の上限額が設定されます。
  • 高額介護サービス費: 1ヶ月の介護サービス費の自己負担額が一定の上限額を超えた場合、超過分が払い戻される制度です。
  • 高額医療・高額介護合算療養費制度: 医療費と介護サービス費の自己負担額を合算し、年間(8月1日~翌年7月31日)の自己負担限度額を超えた場合に、超過分が支給される制度です。
  • 社会福祉法人等による利用者負担軽減制度: 特定の社会福祉法人が提供するサービスについて、所得が低い方などを対象に利用料の一部を軽減する制度です。

これらの制度を上手に活用することで、年金収入だけでも安心して暮らせる可能性があります。


他の高齢者施設との違いと比較

特別養護老人ホーム他の高齢者施設は、目的や入居条件、費用などが異なります。

施設の種類目的主な入居対象者費用体系入居期間運営主体
特別養護老人ホーム終身の生活支援要介護3以上の高齢者(特例あり)入居一時金なし、月額費用長期社会福祉法人、地方自治体
介護老人保健施設(老健)在宅復帰病状が安定し、リハビリが必要な要介護者月額費用中短期医療法人
有料老人ホーム幅広いサービス自立~要介護者(施設による)入居一時金+月額費用長期民間企業
介護医療院長期療養・看取り医療ニーズが高く、長期的な療養が必要な要介護者月額費用長期医療法人

老健との違い

特別養護老人ホームが「終の棲家」として長期的な生活支援を提供するのに対し、介護老人保健施設(老健)は、病状が安定した方が在宅復帰を目指すためのリハビリテーション中心の施設です。

そのため、入所期間は原則3ヶ月~6ヶ月程度とされており、長期滞在はできません。

有料老人ホームとの違い

特別養護老人ホームが公的な施設で入居一時金が不要なのに対し、有料老人ホームは民間企業が運営しており、高額な入居一時金が必要な場合があります。

しかし、サービス内容や設備の選択肢が幅広く、個人のニーズに合わせた選択が可能です。


参考情報