訪問看護の料金計算は、「基本単位(単位を金額への換算)」「加算/減算」「自己負担割合」の3要素で構成されます。2024年度の診療報酬改定内容を踏まえ、具体例と厚生労働省の資料を基にわかりやすく解説します。
基本単位数の共通ルール
時間別単位数(指定ステーション vs 病院)
訪問看護の基本単位は、サービス時間と専門職種によって異なります。2024年6月改定後の単位数は以下の通りです。
サービス時間 | 指定ステーション(介護保険:要介護/要支援) | 病院/診療所(要介護/要支援) |
---|---|---|
20分未満 | 314単位/303単位 | 266単位/256単位 |
30分未満 | 471単位/451単位 | 399単位/382単位 |
1時間未満 | 823単位/794単位 | 574単位/553単位 |
1時間30分以上 | 1,128単位/1,090単位 | 842単位/814単位 |
※准看護師の場合は単位数×90/100で計算。 |
介護保険のサービス費用は、基本的に1単位あたり10円を基準としていますが、地域ごとの人件費の差異を調整するため、「地域区分」と呼ばれる制度が設けられています。この地域区分に応じて、1単位あたりの金額が加算されます。以下に、主要都市の地域区分と1単位あたりの金額をまとめました。
都市名 | 地域区分 | 上乗せ割合 | 1単位あたりの金額(円) |
---|---|---|---|
東京23区 | 1級地 | 20% | 11.40 |
調布市 | 2級地 | 16% | 11.12 |
さいたま市 | 3級地 | 15% | 11.05 |
千葉市 | 3級地 | 15% | 11.05 |
横浜市 | 2級地 | 16% | 11.12 |
名古屋市 | 3級地 | 15% | 11.05 |
大阪市 | 2級地 | 16% | 11.12 |
神戸市 | 4級地 | 12% | 10.84 |
広島市 | 5級地 | 10% | 10.70 |
福岡市 | 5級地 | 10% | 10.70 |
札幌市 | 7級地 | 3% | 10.21 |
以下は、介護保険での計算例になります。
訪問看護の料金:計算の具体的な方法
計算式と加算要素
訪問看護の料金 = (基本単位 + 加算単位 – 減算単位) × 単価(ここでは1単位=10円と仮定)
具体例:30分の訪問看護(指定ステーション)に夜間加算を適用
- 基本単位:471単位
- 夜間加算:471 × 25% = 118単位
- 総単位数:471 + 118 = 589単位
- 費用:589単位 × 10円 = 5,890円
主な加算項目
- 夜間/早朝:基本の25%加算
- 緊急時訪問:月1回あたり最大2,500単位
- ターミナルケア:2日以上の実施で2,500単位追加
訪問看護の料金:自己負担額の計算例
自己負担額は、合計金額に対して、年齢や所得により異なり0割(生活保護)〜3割になります。残りは国の負担になります。
介護保険と医療保険の違い
保険種別 | 自己負担割合 | 上限額制度 | 具体例(1回5,000円の場合) |
---|---|---|---|
介護保険 | 1~3割 | 月額上限あり | 500~1,500円 |
医療保険 | 1~3割 | 高額療養費適用 | 500~1,500円+超過還付 |
高額療養費の具体例
総医療費20万円(1割負担)の場合:
- 自己負担額20,000円 → 上限18,000円を超過
- 高額療養費で2,000円還付 → 実質負担18,000円
よくある質問
まとめ
「訪問看護の料金について」は、保険の種類や加算要件、利用回数など多くの要素で決まります。最新情報をこまめにチェックしつつ、ケアマネジャーや訪問看護ステーションと相談しながら最適な利用方法を選びましょう。